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北斗・南斗系譜(2007/04/13まとめ)
北斗の拳 VS 蒼天の拳 オフィシャルガイドブックに数ページだけ収録されている「北斗・南斗 拳法概論」の内容について検討したい。[bk1書籍情報]
以下、内容を紹介しつつ、それぞれに対する解釈をコメントしたい。
同書の内容を極めて前向きに検討したつもり。
そもそも北斗宗家の拳やそれに続く北斗神拳は何のためにあるのか?という話だが、平たく言えば中国の皇帝に仏教を庇護・布教してもらう引き換えに、拳法で身辺警護をするためのものだということだという、これまでの通りとなっている。
北斗宗家の拳については今まで情報が出ていた通り。北斗神拳の成立についてもその通りのエピソードとなっている。
三家拳の分派だが、三国志の時代の三人の英雄に、それぞれ北斗神拳の伝承者候補を付けたということだという。そして、蜀に仕えたものが北斗神拳の継承者となったが、残り二つの家もいわばバックアップとして残る仕組みが出来たという。蜀の皇帝の警護をしている人間を継承者にするのは、結果的に蜀が天下を取れなかったことを考えると如何なものかとも思うが、まあその辺りは政治的にうまくやったということで理解したい。あるいはうまくやれなかったから仏教の全盛期の現出が隋唐時代まで遅れたのか? またここで曹家・孫家の方も残ることになったことだが……「自然とそうなった」と言われても、一子相伝の厳しい掟がこんなに早く破られるのは少々不可解な気もする。要検討。
そしてこの状態で唐の時代を迎えるのだが、九世紀、時の伝承者はとある英雄と共に日本に渡ったという。ここは記述に混乱が見られ、本文ではこのようになっているが、注記では「中国の皇帝からの指示があったか、英雄と呼べる人物が日本にいたため」となっている。これのどちらにせよ、とある英雄と共に日本に渡ったという記述と整合させるのが難しいのだが……矛盾とまでは言えないが。中国の皇帝が自国の英雄と共に日本に渡れと言ったかもしれないし、英雄と呼べる日本の人物が中国までやってきたのかもしれない。ここはエピソード2の核心部分であるため、まだ設定が確立していないのかもしれない。いずれにせよ、ラオウ葬儀に関連して報道された設定から、時の伝承者が空海の弟子と共に日本に渡ったと見てよさそうだ。またこの結果、中国に北斗神拳の一部が残存し、これが北斗劉家拳、「後に」北斗琉拳と呼ばれる流派となっていったらしい。この辺り厳密マニアになって申し訳ないのだが、そもそもこの時代まで北斗劉家拳と言う呼称があったのかどうか。三国時代にそれぞれの英雄に付けられたのは継承者候補であり、決して新たに流派を起こしたわけでない。曹家拳・孫家拳の成立は、北斗神拳の継承者が劉家に決まった後のことだろう。劉家に仕えていた継承者候補がそのまま北斗神拳を継承していたとすると、そもそも北斗劉家拳なるものは無いことになる。もっともこの辺りのことは何とも言えないところで、候補が三人分散した時点でそういう呼び方が成立してしまったとしても良いかもしれない。そうすると北斗劉家拳には、「1.北斗神拳伝承者となる前」「2.北斗神拳と同一であった時期」「3.北斗神拳から分離した後」の三つがあることになる。あと重要なことだが、以上のことを前提にすると、リュウオウと北斗琉拳の関連についてはもう無いものと思ってよいのだろうか? 蜀に仕え、後に北斗神拳を継承したのがリュウオウというのもちょっと苦しいのではないか。そもそもそれならリュウオウ家系の恨み辛みはかなりの程度減殺されているはずである。中国に残った北斗劉家拳は「後に北斗琉拳と呼ばれる拳法に」との記述があるため、伝統及び正当性を感じさせるであろう劉家の名称を外す・あるいはそれと同格の別の名称を用意する程のかなりの変容があった可能性はありうる。おそらくそれは魔界関連の技術だと思うが、これが元々はリュウオウの創始で、中国に残った北斗劉家拳と交わったとも考えられるが……。
次に北斗神拳の継承ルールだが、「宗家の了解のもと、伝承者が次代の伝承者に印可を譲ることで受け継がれる流れ」とのことである。ここで言う宗家が北斗宗家の血筋を引く長のようなものなのか、長老たちによって運営される最高会議のようなものなのかは不明だが、コントロールを握っているのがこの宗家であったことは間違いないだろう。しかし蒼天の拳の時代及び北斗の拳本編の時代において、このような決定を言い渡すものが存在していない。蒼天の拳では道士がずばり宗家、あるいはその意向を受けている者である可能性はあるが、北斗の拳の時代には見られない。
伝承者争いに敗れたものについても記されているが、拳法を使わないのなら、それで済むということで確定したかと思う。ただ、この項目、拳を自ら封印したものについてジュウケイや魏瑞鷹を入れていたり、魏瑞鷹の創始した流派を「極星十字拳」(本当は極十字聖拳)と言ってしまったり、非常に「大丈夫かな?」感が漂うのだが……。なお、極十字聖拳については、図中に南斗聖拳への影響の可能性が示されており、南斗鳳凰拳の極星十字拳などはその影響下のものという従来から一部で言われてきたことの根拠は強まった。しかし、その影響より前に南斗鳳凰拳が存在していたことも図表されているため、極十字聖拳が南斗鳳凰拳になったということはない。
次に南斗の話。
南斗聖拳は源流を北斗宗家の拳だと言う。これまで「南斗宗家」なる存在を仮定して、南斗聖拳の系譜について考えたりしたが、どうやら根本的にそんなことは間違いだったようである。北斗宗家の拳やその他様々な拳の混交と整理と見てよさそうだ。
南斗鳳凰拳についてだが、継承資格が左右の秘孔が逆の者に限定されてしまった。だとするとこれは完全な対北斗神拳シフトの拳法である。成立理由・変遷について要検討。
さてその他の南斗聖拳についてだが、南斗の郷(=南斗聖司教?)の認可を受ければそれで済むような雰囲気である。また、そもそもの南斗の郷と南斗聖拳の成立理由が、(北斗の)伝承者争いに敗れた者に対する別流派立ち上げのためのセーフティ・ネットであり、伝承者を認可する理由は「北斗に益をもたらす拳法」であり、運営は北斗と親交のある人物によるものということになってしまった。これでは北斗のサブ・サブ・システム扱いではないか。また、一時南斗聖拳の流派数は1000(千)を超えたという。成立の話に続き、108という数にも意味がなくなり、これで南斗の神秘性は0になったに等しい。
南斗六星拳については、「誰もが『これは』と認める流派がいくつか」「それが六流派あり、いつしか『六星』」とあり、また残りの流派はこのいずれかに閥として所属するような流れが出来たという。それ自体に異論は無いのだが、これでは拳法を体得していない「慈母星」を六星に入れる理由が皆目見当が付かないのだが。
そして南斗最後の将についても記述があるのだが、「印可を受けて名乗れるものではない」「生まれついての星」「南斗と北斗を一体にする力を宿した」「最終的にその星の元で南斗各派が本来の使命に目覚め、結束」「『いざ』という時が来なければ、その姿を現す必要はなく」「世紀末の五星も、最後の将の正体を知らなかった」「つまり『最後の将』とは、最後にその存在が明らかになる将」「その能力とは、今のところ『北斗』に深く縁をした女性のみが持つ」ということである。以上ほぼ丸写しで訴訟を起こされたら負けるのだが、しかしこれは説明しているようで説明になっていない感がありありとする。平たく言えばユリアの特徴をぼかして書いてあるだけなのだ。上で述べたように、南斗の源流が、北斗に対して非常に格の落ちるものとされてしまった以上、このような説明をされても……。「南斗各派が本来の使命」とあるが、本来の(裏の)使命は北斗神拳の発展なのだから、南斗全力を挙げて北斗神拳の踏み台の役割を果たせ、ということなのだろうか。余りと言えば余りの結論だが。
以上、南斗に関してはやや魅力の乏しい設定となってしまった。今後の設定改善を期待したい。
改善以前にこの本が無かったことにされる可能性も高いと思うが。
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