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南斗宗家
以下は、最近の新情報を考慮していない内容です
この章では、南斗聖拳にまつわる矛盾を解決する。
そのために南斗宗家という概念を導入する。これは北斗宗家に対する南斗の宗家のことである。
この南斗宗家という用語は、閉鎖前の当サイトで用いられたのが最初であり、一般の出版物などには存在しない。しかし、説得力ある用語とみなされたか、幾つかのサイトの管理者は、この用語を使用して南斗の謎解きを計っているようだ。だが完全に納得できる説明は展開されていないようである。
南斗宗家の概念を持ち出したのは、この羅将であり、やはり自ら再び乗り出すべきであると思い、筆を執る。
なお、この章は基本的に時間順に述べられている。また、「根拠」については、特に提示しない。状況証拠から来る推測がほとんどであるからだ。
この章により、南斗聖拳にまつわる矛盾は総て解決されると信じる。
目次
・封印あるいは忘却されし南斗の過去
・拳法の継承
・核戦争前後−−そしてシンの不幸
・現代
・ギャラン
・裏南斗
・宗家の動向
特記:ジュウザについて
特記:ラオウについて
封印あるいは忘却されし南斗の過去
2000年以上も前のことだ。天帝が世を支配していた、ということにしておきたい。
天帝の軍事面を支えるのは北斗宗家・南斗宗家の両輪である。
北斗宗家は攻撃を担当する。天狼星の宿命を持つものが、北斗宗家へ出陣を要請する使者となる。
南斗宗家は防御を担当する。天帝の居城の六つの門を守る。この六つの門はそれぞれ、南斗宗家の長「将」と、五車星と呼ばれる宗家の五人の高僧によって守られる。断じて南斗六星拳ではない。この時代にそんな概念も南斗聖拳も存在しない。そもそも、六星拳の一人は南斗鳳凰拳伝承者であるが、帝王の拳である南斗鳳凰拳伝承者が天帝を守ることなどありえないのだ。
さて、ちょうど2000年ほど昔のこと。世は乱れる。これは天帝の世が乱れた、ということだ。
なぜ、乱れたのか? その要因の一つは、天帝を支える軍事面の弱体化である。当時、共に極められた拳であった北斗宗家の拳と南斗宗家の拳は、両者ともに受身を極められ、戦闘能力を無くした。
あるいはこれは、北斗南斗の主導権争いが原因であったかもしれない。両者は共に、相手の拳を先に見きろうと研究を重ね、ついに相手の拳に対する受身を極めた。それが一般に漏れたという可能性がある。
ともかく、天帝は、役立たずとなった北斗南斗を解任する。
北斗宗家はこれに対して、新たなる無敵の暗殺拳を生み出すことにより、天帝に再び仕えんと欲したのであろう。だが、宗家の高僧の一部のものは、彼らを解任した天帝への憎悪を膨らまし、魔界へ入り北斗琉拳を創始するに至る。
では、南斗宗家の対応はどうだったか? ここまで読まれた方は、おそらく「わかった! 新しい拳を創始して天帝に再び仕えようとしたんだ! そして、まだ南斗聖拳は成立していないから、あたらしい拳法=南斗鳳凰拳は南斗聖拳ではないと言うんだろう!」と思われるかもしれない。しかしそれでは50点である。
なぜ50点か? ヒントはすでに出してある。そう、南斗鳳凰拳は帝王の拳である。他者に仕えるものがそのような拳を創始するであろうか?
そう、南斗鳳凰拳は叛逆の拳なのだ。解任を恨んだ南斗宗家は天帝に取って代わろうとしたのである! そして宗家の血を引く才能のある若者に帝王の拳の創始を託したのだ。
外部の傭兵にも近い役割だった北斗宗家に比べて、長年お傍に仕えた南斗宗家の方が解任時の被害者意識は強く、それゆえに叛逆という極端な手段を選んだのであろうか。
では、南斗鳳凰拳創始者率いる南斗軍と天帝の戦争が始まったのだろうか?
否! なぜなら、その前に南斗の内戦が始まったからである。
実は南斗の未来を託されたのは一人ではなかったのだ。北斗宗家は一人を選んだが、南斗宗家は二人の若者を選んだ。おそらく、人材は多いほうが良いだとか、二人の方が共に鍛え合える、という理由であろう。そして二人はともに帝王の拳を創始する。南斗鳳凰拳と南斗龍皇拳である。
だが、帝王二人が両立することはありえない。南斗宗家は、二つに分裂し、争うことになる。血みどろの内戦である(南斗大戦と呼ぶことにしよう)。
そして、永き闘いの果てに、奥義天翔鳳拳により、南斗鳳凰拳創始者は南斗龍皇拳創始者を倒す。だが、激しく争った二派がいまさら融和できようか。後者を支持していたものは、以後裏南斗と名乗り2000年の闇に雌伏することになる。
さて、では南斗鳳凰拳の創始者はその後どうしただろう? 彼と南斗龍皇拳の創始者は幼き頃より友に稽古に励んできた特別な間柄である。彼は闘いの果てに愛と哀しみを知っただろう。そして闘いの荒野で死すことを願い、宗家の元を去ったであろう。そして彼の拳は、帝王の拳であるがゆえに、その凄絶な闘いゆえに一子相伝となったのだ。
こうして、南斗宗家の叛逆計画は悲惨な末路を辿る。一族は分裂し、優秀な二人の若者のうち一人は死に、一人は彼らの元を去ってしまった。こんなことを後の世に伝えられるだろうか? この呪われた出来事は完全に封印された。裏南斗のほうですら、この事実は封印したであろう。以後、南斗は自らの歴史を封印する習性を身につけていく。
忌わしい出来事から数百年がすぎた。
過去の記憶は薄れ、南斗宗家も再び活動を活発化してきた。
南斗は陽拳であり、分派を恐れない。
南斗宗家の拳に関する極められた受身も世間から消えたように見えた。
再び世に南斗宗家の拳があらわれる時が来たのだ。
だが、さすがに南斗宗家の人間は、呪われた闘いを経たせいか、慎重である。特に宗家の長に近いものほど。
彼らは南斗宗家の拳の一部を開放したのみで、残りは自分たちの秘伝としたのであろう。
開放された一部の拳は、その後他の流派と交じり合い、やがてそれぞれ一派をなしていく。
こうして、108派と言われるほど数多くの流派が成立した。そして北斗神拳と対比され、いつしか総称として南斗聖拳と呼ばれるようになったのであろう。
ようやく南斗聖拳が成立した。
ここで強調しておかねばならないのは、南斗聖拳とは、南斗宗家の拳を原型に他の流派と混ざり合った不純な拳の総称であるということである。そして、南斗聖拳より古くから存在する南斗宗家の拳や南斗鳳凰拳が、いきなり出来あがった南斗聖拳という枠組みの中の一派でないことは言うまでもない。
しかし南斗聖拳の定義はすこぶる曖昧でもある。平たく言えば「南斗を名乗っている、互いに似ている拳を総体として南斗聖拳と呼ぶことにした」だけのことである。南斗聖拳そのものは存在しないのだ。それゆえに南斗鳳凰拳や南斗宗家の拳もちゃらんぽらんに南斗聖拳とくくってしまうことも可能である。だが、ここではあくまで南斗聖拳とは、南斗宗家の拳+他流派の拳である、とする。
やがて時は過ぎ、南斗鳳凰拳伝承者が、南斗聖拳の伝承者や将を尋ねるであろう。動機は手下欲しさか、手合わせによる腕の向上かはわからないが。
南斗の帝王を名乗る彼に対して、南斗聖拳のものたちは「ふざけるな」とばかり、戦いを挑んだ。だが、彼らは完敗する。なぜか?
彼らの拳=南斗聖拳とは、南斗宗家の拳+他流派の拳であり、南斗を名乗る以上、その奥義は南斗宗家の拳に近いものを採用しているであろう。
そして、南斗鳳凰拳伝承者は宗家の拳に対する受身を伝えられているのである。
つまり、南斗聖拳伝承者が奥義に近い技を繰り出せば繰り出すほど、南斗鳳凰拳伝承者には通じないのである。
南斗聖拳の伝承者たちは、彼らの奥義がまったく通じなかった南斗鳳凰拳伝承者を彼らのリーダーと認めざるを得まい。
では、五車星や将はどうしたか? 彼らの拳は宗家の拳そのものであり、闘っても勝ち目はない。それを知っていたかどうかはわからないが、彼らは鳳凰拳とは戦わず、実質的な指導者として承認したと思われる。
これまで南斗の象徴として君臨していた「将」は、せいぜい一番古い名家程度の扱いとなり、南斗の最強拳は南斗鳳凰拳と決定する。このとき南斗聖拳伝承者が南斗鳳凰拳伝承者にいどんだ闘いを元に、南斗10人組み手が出来あがったのではないかと推測する。後にはこの闘いと、古い伝説時代の呪われし闘いを混同するようなこともあったかもしれない。
南斗宗家は、さらに門戸を閉ざす。かつての希望の星によって、南斗の指導者の地位を追われた彼らは、そうすることでしかプライドを守れなかったのだろうか。
さて、これよりさらに時代は下り、古き時代の記憶がさらに失われた頃のことだ。南斗がかつて天帝の居城の六つの門の衛将を務めていたことを、ある南斗の学者が長い長い調査の末に知る。彼は考える。天帝とは誰か? しかしそれはわからない。そこで別の方向へ考えを移す。六つの門を守っていたのは南斗の中でいかなる者たちか? と。
彼の頭の中にまず二人が浮かぶ。南斗最強の南斗鳳凰拳伝承者と南斗の古い家系である将である。あと、4人は誰だろう、と彼は悩む。残念ながら、将と五車星でちょうど六人となることが浮かばなかったのであろう。そして彼は誤りを犯すことになる。
おそらくこの時代、南斗鳳凰拳伝承者のほかにも、南斗にはおそらく4人の強力な漢たちがいたのであろう。南斗四天王と呼ばれていたのかもしれない。学者は思った。2+4=6だ! 見つけた! と。
そして、彼により南斗六星拳学説が発表される。彼が探り当てた過去の事実=南斗が六つの門の衛将を務めていたことと、それを務めていたものたちについてである。
この学説はおそらく南斗のかなり多くのものの心を捕らえたと思われる。なぜなら、宗家の秘密主義(過去の叛逆の心が生み出した歪んだ闘いと鳳凰拳により指導者の地位をおわれたトラウマに由来する)のために、彼らの古い歴史は、ものすごい薄い形でしか伝わっていなかった。それゆえ、南斗の漢たちは己の拳の伝統に不安を抱いていたのだ。南斗四天王も、南斗六星拳など、考えたことも聞いたことも無かったが、その学説を受け入れたであろう。そして、この頃には古い記憶を失ってしまった、南斗鳳凰拳伝承者と南斗宗家の将も、「世論」に押される形で学説を承認したであろう。しかし、繰り返しになるが、帝王の拳である南斗鳳凰拳伝承者が天帝を守ることなどありえないのだ。
この学説から数百年、南斗六星拳は、もはや誰も疑うもののない真実となる。学者は伝統を掘り当てたつもりで、作り上げたのであった。
………そして、現代に至る。
以上が、封印あるいは忘却された南斗の歴史の全貌である。
注:
ちなみに北斗神拳と南斗鳳凰拳と南斗龍皇拳の伝承者は、三者とも北斗宗家の拳・南斗宗家の拳の両方に対する受身を受け継いでいると思われる。なぜなら、受身がなければ、両宗家の拳は未だ無敵であるからだ。
新しい拳法を作っても、最強の拳への備えを忘れては意味が無い。
拳法の継承
北斗の拳原作後の世界を描いた、北斗の拳4・北斗の拳セガサターン版には、南斗水鳥拳や南斗白鷺拳の使い手が登場する。
南斗聖拳の伝承は必ずしも直接的な伝授による必要はないと判断できる。
ただし、サウザーの回顧から推測すると、一子相伝の南斗鳳凰拳は個人教授が総てであるようだ。
また、南斗鳳凰拳伝承候補者は、伝承者となるまで、南斗の他流派との接触を断たれているように見える。
おそらく、南斗龍皇拳創始者との哀しき闘いの後に放浪した記憶のために、継承者を孤独な旅の中で見出すことになったのであろう。オウガイも南斗中央道場を出でて数年後に出会ったサウザーに拳を伝授したのだと推測される。
そして、拳を受け継いだサウザーは、南斗中央道場に戻ってきたのだ。
また、(既に述べたように)五車星は、南斗聖拳とは別に屹立している、南斗宗家の従者集団から出ていると思われる。宗家の秘密主義により、六星拳すら五車星の実態を把握してはいなかっただろう。
(参考:甲斐の才兵衛殿のサイトを参照のこと:南斗の伝承システムについて推測がある。一言で言えば、各地に南斗道場を用意し少年を鍛錬し、その中の才能あるエリートを中央道場へと集め、やがては六星拳の後継者と成していくというシステムである)
この説に基本的に賛同する。
また、宗家・五車星・鳳凰拳は、継承の異様さから、この中央道場において教授を行っていないと考えられる。
だとすると中央道場の最高レベルの指導者は六星拳のうち、鳳凰拳と将を除いた4人である。そして、4人のうちの一人が道場主(あるいは師範代)という立場で他に優越した立場にあったと思われる。アニメ版において、多数の南斗聖拳使いを部下としていることから、中央道場の道場主はシンであったと推測する。
まとめ
南斗宗家 血統による継承
南斗五車星 基本的に、閉鎖された従者集団から選抜
南斗鳳凰拳 南斗中央道場を出て、継承者を見出す
南斗六星拳 南斗中央道場にて選ばれたエリートを後継者に
主要な南斗聖拳 南斗中央道場あるいは各地の道場で選抜
主要でない南斗聖拳 各地にて独自の方法で継承(南斗聖拳は南斗宗家の拳+「何か」の拳であり、主要でない拳の継承方法は、過去の「何か」の拳の継承方法にも拠ると思われる)
核戦争前後−−そしてシンの不幸
核戦争前の南斗道場では、シンが道場主である。そして3人の高弟(レイ・シュウ・ユダ)がそれを補佐している。鳳凰拳を伝承して中央道場にあらわれたサウザーと、将・五車星は一般の拳士の指導にはあたらないため、たまに姿をあらわすくらいであろう。
また、南斗中央道場と、北斗道場(リュウケンの道場)は非常に近くにあったと想像できる。そのため、ケンシロウが、南斗10人組み手を受けたりすることも出来たのだ。また、ユリアと出会うことにもなったのだ。
北斗道場と南斗中央道場が近く、ケンシロウが北斗神拳の伝承者に決定し、シンが南斗中央道場の道場主である。あまり事情を知らない南斗の一般拳士たちには、両者がライバルに見えていたであろう。
核戦争前では、北斗・南斗の領袖として、ケンシロウとシンの両者は交流が深かったに違いない。
さて、その状態はくずれていく。
まずはリュウケンの死である。リュウケンの死が核戦争前か後かははっきりとしないが、後であると考える。ラオウが伝承者として生きることを拒否し、トキが灰を浴びたため、伝承者はケンシロウとなったのだろう。
ともかく、核戦争後、リュウケンはラオウに殺される。リュウケンは、北斗神拳の継承者として、南斗の方にも睨みを利かせ、「争ってはならぬ」などと道場主シンに諭していたりした。そのリュウケンが死亡し、そして北斗の長兄のラオウは失踪する。
北斗はリュウケン・ラオウを失った。南斗にとっては好機だ。サウザーを先頭にケンシロウに戦いを挑めば勝てたかも知れぬ(ただ、トキがまだ完全に病におかされていなければ難しいか)。
ただしこのようなことは起こらなかったし、起こるはずもなかった。
なぜならこのとき南斗鳳凰拳伝承者サウザーも失踪していたからだ。
戦争が激しくなってきた頃、彼は師オウガイのミイラを守るため、出奔していたのだ。おそらく遺骸を保存していた場所が遠くだったのであろう。
核戦争後、しばらくして南斗道場に「拳王」の噂が聞こえてくる。南斗の拳士たちはおびえる。実際にすでに襲撃され、奥義を奪われたものがいたのだろう。門人をまもらねばならぬ。しかし、サウザーのいない南斗には、拳王と戦う力はない。
南斗が躊躇している間に、拳王はいろいろな拳を極め、さらに強大となっていく。
ここで高弟の一人ユダが寝返るのだ。これが南斗に激震を起こした。道場主シンの名声は地に墜ちた。
シンは、(ユリアを得るためということもあるが)、道場主として力を示すため、北斗神拳伝承者ケンシロウを倒すデモンストレーションをせざるを得なくなったのだ。そして、彼はケンシロウの胸に七つの傷をつける。
ちなみにアニメ版では、(やや後の話になるが)シンの部下が「ケンシロウを倒した報酬を貰っていない」と反乱を起こす。しかし、回顧シーンを見る限り、彼らは何もしていないように見える。また、(原作もそうだが)ここではケンシロウがあまりにもあっさりとやられ過ぎである。状況証拠から考えると、もしやシンの部下の数人が、ジャギに授かった秘策を実行していたのでは(と邪推)。
しかし、この事件のために、南斗の一般拳士たちは、「北斗おそるるにたらず! 我らが道場主は無類無敵!」と気勢をあげすぎてしまった。
彼らは、拳王に対抗して、シン様も天下を目指すべきだ、とせまった。シンは苦悩する。なぜなら、彼は自分がラオウにかなわないことを知っていたからだ。
しかも南斗には失踪中のサウザーもいるのだ。南斗聖拳ではサウザーには勝てない。サウザーの地位を否定するような、下手な宣言は出来ない。
苦悩の末に、彼はKING(王)と名乗る。これならばサウザーに対しては、「私は帝(サウザー)の下の王(KING)ですよ」という言い訳も立つ。
KINGを名乗ったシンは、一般拳士たちの勢いに押され、中央道場を出て、「関東」に本拠地を置き、各地に侵攻を続ける。
おそらくこのあたりで、彼は自分がなんのために何をしているかわからなくなってしまったのだろう。
なりたくもないKINGになってしまい、したくもない侵攻をしているうちに、精神は錯乱し、理性は「すべてユリアのためなのだ」という言い訳で原因究明のための思考を麻痺させて、徐々に狂っていったに違いない。
現代
では、現代、つまり「北斗の拳」の時代の南斗について解説しよう。とは言うものの南斗の歴史さえわきまえていれば、もはや謎など無いも同然なのだが。
まずはシンである。北斗神拳伝承者ケンシロウは、一度彼に敗れる。本来なら北斗神拳伝承者は南斗宗家の拳の受身を身につけており、南斗聖拳には倒されないはずだ。おそらくリュウケンがラオウに殺されたために、受身を授かることが出来なかったのだろうと思われる。
次にジャギである。ジャギは、「貴様に見切れる南斗聖拳ではないわ!」とケンシロウを怒鳴りつける。普通ならシンを倒したケンシロウが、非専門家の自分の南斗聖拳を見切れないわけがないと気づくはずだ。
なぜ彼はそう思わなかったか。
おそらく、ケンシロウが南斗宗家の拳の見切りを極めていないことを知っており、「正当な継承者であるこのオレは南斗を見切れるが、ケンシロウは見切れない」と勝手に思いこんでこだわっていたのだと思われる。
その次にレイである。レイの言葉によれば「六星拳はかつて皇帝の居城の六つの門を〜」ということである。既に天帝という言葉すらレイには伝わっていなかったと思われる。
再び、レイの話題である。彼がラオウに繰り出す南斗究極奥義断己相殺拳について述べたい。これについては、甲斐の才兵衛殿が「南斗究極奥義と言っているから、南斗水鳥拳ではなく、南斗宗家の拳ではないか?」という趣旨のことをのべておられる。
ここまで読んでいただけた方ならおわかりの通り、南斗聖拳は「南斗宗家の拳+なにか」であり、南斗の拳を名乗っている以上、その奥義は南斗宗家の拳そのものか、それに限りなく近いものであることはまず間違いない。
したがって、断己相殺拳は、南斗水鳥拳でもあり、南斗宗家の拳でもあるのだ、としか言いようがない。
あるいはレイの意識としては南斗全体の奥義だと思っていたのかもしれない。レイの南斗水鳥拳は、形として美しく完成している。奥義として伝わっていた断己相殺拳に対して、普段使う一般の南斗水鳥拳とやや異なるものを感じていたのだとしたら、「これは水鳥拳の源流の南斗聖拳そのものの奥義に違いない」と考えた可能性もありうるだろう(繰り返すが、南斗聖拳という拳法は存在せず、単なるグループ化によって生まれた名称である)。
ちなみに、ラオウがこの拳を児戯にも等しいもののように葬ったことも簡単に説明できる。おそらく彼は伝承者には選ばれてはいなかったが、北斗神拳を学ぶ中で(直接か書物などを読んでかはわからぬが)南斗宗家の拳に関する受身を学んだと思われる。したがって、レイが必至に繰り出した、仮にも究極奥義と名のつく拳が、あんなにも簡単に防がれたのも理解できる。極められた拳ゆえに受身も極められていたのである。
次にシュウである。シュウはケンシロウに「南斗聖拳では奴(注:サウザー)を倒すことは出来ぬのだ」と語る。なぜ出来ないかは、もはやおわかりだろう。南斗聖拳の奥義は南斗宗家の拳であり、南斗鳳凰拳伝承者はそれに対する受身を極めているのだ。その事実を、シュウは知らなかっただろうが、「南斗聖拳では南斗鳳凰拳は倒せない」という言い伝えがあり、それを確信するような出来事もあったのであろう。
また、シュウには重要な発言がある。「それが南斗の宿命 南斗は天帝の星として輝かず!」という台詞である。
この台詞は、少し考えると意味不明なのだが、ここまで読まれた方はすでにおわかりの通り、「南斗(鳳凰拳)は天帝にとってかわることはできない」と僭称者のサウザーに告げているのだ。シュウは古代の出来事の一部でも知っていたのだろうか?
お次は現代の南斗鳳凰拳伝承者サウザーである。
彼は「極星は一つ 天に輝く天帝は南十字星 この聖帝サウザーの将星なのだーっ!!」と天帝宣言をかましている。鳳凰拳が叛逆の拳であることは間違いない。
ちなみにケンシロウが彼に放つ天破活殺は、天乱れるとき天をも破る技である。この技をサウザーに向けて放ったと言うことは、ケンシロウはサウザーを天帝と認めた、と解釈することもできる。ジャコウやファルコから天帝への叛逆を問われても仕方あるまい。
そして五車星である。某出版物によれば、五車星の拳は南斗聖拳ではないという。
風のヒューイの拳は、もちろん純粋なる南斗宗家の拳だろう。そして、南斗宗家の拳であるがゆえにラオウには通じない。もっとも、受身も糞もないくらいにあっさりとやられてしまったが。
炎のシュレンも同じだ。
山のフドウは、将に直々に外部よりスカウトされた存在であり、南斗とは無縁の拳を使う。
海のリハクもおそらく南斗宗家の拳を使うだろう。
リハクの娘、トウも南斗宗家の拳を使うと思われる。北斗宗家に代々最強の拳士が従者としてつくように、南斗宗家の将にも従者がつくのだろう。恐らくユリアの従者がトウであり、南斗最強の拳士だったのであろう。ただ、従者はやはり父のリハクで、トウはただの娘だったということもあり得る。なぜなら、北斗宗家の従者黒夜叉とリハクには共通点が多い。両者とも、自分の目に信頼を置いている割に節穴であるし、死んだはずなのに蘇る(黒夜叉は本編で死に・SS版で復活して死に、4で復活。リハクはSS版で一度死に、4で復活。余談だが、ジュウケイも併せて「見抜けなかった」人物たち。ジュウケイもやはり従者の出か?)。
ジュウザと将に関しては、特記:ジュウザについてに譲る。
ギャラン
裏南斗
北斗の拳4に登場する裏南斗について論じたい。
すでに述べたように、裏南斗は、南斗鳳凰拳創始者にやぶれた南斗龍皇拳創始者を支持していた南斗宗家の従者集団の一部がその母体である。
彼らは表に出るや否や、裏南斗108派などと称するが、その数は、まったく信用できない。
そもそも裏南斗六星拳からして、質がばらばらであり、その宿命の星もいい加減である。
裏南斗にはもともと制度など無く、表に出るに当たって、(本来南斗聖拳と対等なのだ、見栄を張るためか?)南斗の制度を模倣したのである、と判断しても良かろう。
なお、南斗聖拳の制度を模倣した裏南斗が、最後に彼らの中に組み入れた悲運の将については宗家の動向において触れる。
宗家の動向
この項目では、古い時代からの南斗宗家の動向を描き出す。
まずはユリア3兄妹(リュウガ・ユリア・ユリアの妹『悲運の将』)を中心に話をすすめたい。
(なお特記:ジュウザについてを先に読まれたほうが良いかもしれない)
長男のリュウガであるが、泰山天狼拳の使い手、天狼星の宿命を持つ男である。
ということは、天狼星について解説せねばなるまい。
天狼星は乱のおりに北斗を戦場へ導くという。要するに、天帝から北斗宗家への出動命令を伝える役である。
2000年前の北斗解任の折に、彼の役目もなくなってしまい、同じように解任されただろう。
さて、彼はどこへ行くだろうか?
北斗宗家のところへ行った可能性もある。しかし北斗側から見れば天狼星は自らを解任した天帝側の人間であり、受け入れる気にならなかっただろう。そこで彼は南斗を頼る。
南斗側はもともと天狼星と同じく、天帝の居城につかえる身であり、彼とは縁があったであろう。しかも南斗は天帝に叛逆する予定であり、戦力は少しでも欲しい。
こうして天狼星は以後南斗と行動を共にする。おそらく宗家に継ぐ格式で迎えられたであろう。そして長い歴史の間で南斗宗家と融合したと思われる。
では、南斗宗家はどのような制度を持っているのか。
まず、歴代の継承者は男か女か、という問題が出てくる。慈母星という名称から、あるいはユリアが女でありながら兄を差し置いて将になっていることから「女が継ぐのだ」といいたくなる。
これについてはあべぎゃ殿の、「男だったら『慈父星』になるのだ」という意見がある。可能性としては否定しない。しかし、そもそも南斗六星という制度は、かなり時代が下ってから、いい加減に作られたものであり、宗家とは何の関係もない代物である。だから慈母星だろうが慈父星だろうが、宗家の人間には実はどうでもよいのである。ユリアが慈母星慈母星と称えられていたのは、関係者が勝手な聖母願望をユリアに投影しただけの話であろう。
では、なぜユリアが将になっているのか? これは逆を考えればわかりやすい。
そう、女では泰山天狼拳は継承できないのである。逆に、将が受け継ぐべき南斗宗家の秘拳は、生命を回復させる術であると思われ、戦闘に役立たない人間でも構わないのである。
おそらく、天狼星の家と融合した後の南斗宗家では、代々の当主の子のうち二人が、それぞれ次期「南斗宗家の将」と次期「天狼星」になっていったのだろう。おそらく宗家の秘密主義からこれが外部に漏れたことはあるまい。したがって、ケンシロウも、まさか天狼星の男が南斗の人間で、しかも南斗最後の将がユリアで、しかも二人が兄妹であったとはかけらも想像できなかったのだろう。
逆に、トキがユリアとリュウガの関係を知っていたということはどういうことなのだろうか。
才兵衛殿の分析によると北斗神拳伝承者は一度トキに決定したのだということである。あるいはトキは継承者に決定した時に、南斗宗家の内情について聞き及んだのではなかろうか?(トキが北斗神拳の継承者であったという話については、才兵衛殿のサイトの分析を参照されたい)
リュウガの死後、泰山天狼拳は継承者無く、失われた可能性が高いが一族の人間が継承している可能性もある。(南斗宗家の秘密主義!)
さて、ここで稀代の軍師海のリハクについて触れておきたい。
まずは、彼の狙いについて指摘しておく。
海のリハクの狙いは、南斗の将を擁し、天下を獲ることであった。
彼の策略は、簡単に言うと、ラオウとケンシロウを闘わせ、両者を葬り漁夫の利を得る、というものである。
彼には有名な「これほどまでとは…見抜けなかった」という言葉があるが、これは嘘である。彼は見ぬいていたのだ、ケンシロウがラオウと闘えば、勝つか相討ちになると。
相討ちになればもはや敵はいないし、ケンシロウが勝った場合はユリアと共にどこかへ消えてくれるという計算だ。
ユリアの後継者として妹『悲運の将』も準備されているし、残った南斗宗家の残党だけでも天下は獲れると読んだのだろう。
さて、将ユリアの死後、あるいは彼女がケンシロウと旅立ってから、南斗宗家はもちろんユリアの妹『悲運の将』が継ぐ。
そして、海のリハクは、彼女を擁し、世界の実質的な指導者として君臨するために、行動を開始しただろう。
だが、ここで誤算があった。世の強者は尽きたと思っていたが、元斗の戦士たちを率いる天帝の総督ジャコウが残っていたのだ。
弱体化した南斗宗家では、元斗に適うはずもない。リハクは、すぐさま南斗宗家を影に隠し、潜伏することになる。そして、手持ちの軍を投入せず、バットやリンなどのどうでもいい連中を『北斗』などと名付けて反乱を起こさせていたのだ。
やがてケンシロウがあらわれ、元斗を一掃するが、これは南斗の天下獲りも不可能にする事態である。リハク率いる南斗は潜伏を続ける。
セガサターン版の時代になると、南斗宗家の新たな戦士(五車星)たちも育ちはじめ、いよいよ南斗の世の到来か、という(リハクの)期待も膨らんでいただろう。
しかし北斗無明拳との対決で、リハクを含む新五車星は死に絶え、またしても南斗の天下は遠くなる。
ちなみに海のリハクは死んだはずなのに、北斗の拳4の時代には復活している。おそらく己を死なせると見せかけて、実は生きているという南斗究極奥義の一つを使用したに違いない(飛び降りたユリアは五車星に助けられたのではなく、この秘奥義を使った可能性もある)。
おそらく、この出来事がきっかけで、悲運の将はリハクを解任する。ラオウ・ゼンオウとの闘いで、2度も貴重な五車星を失う派目になったことが許されなかったのであろう。
だがリハク解任後、さらに南斗宗家は弱体化する。
南斗の若者のほとんどは、歴戦の戦士リハクを慕い、彼の道場にて腕を磨くようになったのかもしれない。
そして、裏南斗の時代の到来だ。
裏南斗の項で述べたように、裏南斗は南斗聖拳を模倣して、制度を急造した。
そのため、「将」が必要になった。だが、彼らの中に「将」はいない。
だが、調査すると、南斗最後の将の後継者がいることがわかった。彼らは悲運の将を襲い、幽閉し、傀儡とする(南斗聖拳の制度をマネしたい、という動機以外にこんなことをする理由はない)。
侵攻するガルグ率いる裏南斗に対して、宗家も抵抗する。
だが、ガルグの(裏)南斗龍皇拳は、南斗宗家の拳に対する見切りを含んでおり、五車星ごとき(それもリハクを失った後の低レベルな)ではどうしようもない。
そして南斗龍皇拳に対するための奥義天翔鳳拳を使用できる南斗鳳凰拳伝承者は彼らのそばにもどこにもいないのだ。
かくして、『悲運の将』は、役に立たない五車星もろとも幽閉されることになった。五車星が生かされた理由だが、これも単に南斗聖拳を真似したい、という理由だろう。彼らの人員の中には、五車星などを準備する余裕がなかったのだ。だから、元からいる五車星を裏南斗五車星ということにしたのだ。
ちなみに五車星の中で、一人だけ逃げ延びたカインという漢がいる。彼は北斗の拳4の主人公に協力し、将を救おうとする。カインらは裏南斗五車星と名乗っているが、将が裏南斗を冠されている以上、自分らも裏南斗を名乗るしかなかったのであろう。ちなみに、エンディングでの彼のテロップは「NANTO GOSYASEI KAIN」であるが、裏南斗の軛から逃れたので元の名に戻ったのだ、と推測できる。
特記:ジュウザについて
旧修羅の国での解説では、ジュウザの我流の拳を失われた南斗宗家の拳と仮定した。南斗の将であるユリアの腹違いの兄であるジュウザは、南斗宗家の血を引いている可能性が高いこと。同じく我流の拳のように見えたカイオウの拳が実は北斗宗家の拳であったことなどからそう判断したのである。
この判断は実は変わっていない。彼の我流の拳はやはり宗家の拳であろう。だからこそラオウには通じない。受身を極めているからだ。最後の技にしても、油を塗っていなければ、宗家の拳に関する受身を極めている拳王に傷を負わせることは出来なかったであろう。
それは良いとして、ジュウザとユリアの関係について、ここでとんでもないどんでん返しを言ってしまわねばなるまい。
ジュウザはもともと単にラオウやカイオウが「北斗宗家の血を引く」「北斗宗家の従者」であったように、「南斗宗家の血を引く」「南斗宗家の従者」の家系のものだっただけなのだ。
老人のひとこと「あの女はおまえの腹違いの妹」という言葉は、ジュウザのユリアへの身分違いの恋を断たせようと想ってゆえの大嘘である。
なぜなら(老人は知っているのだが)ユリアが将であるという事実は伏せられており、ジュウザの恋が「身分違いである。あきらめろ」ということは出来ないからだ。
しかし、想いを固めたジュウザに絶対に諦めさせなければならないとあらば「実は妹」という嘘をつく以外にはないではないか。
さらにもう一つ言っておくと、ジュウザはその天賦の才から、将の将来の夫としてどうか? という話が、出ていたと推測する。彼が将ユリアの傍にずっと仕えていたのはそのためであろう。しかし、ジュウザはまともに拳の修行をしようとしない。そこで、周囲は他の人物、北斗のケンシロウに乗り換えたのである。
血の中にある過去の遺物にしか頼ろうとせず、努力して己を磨こうとしないジュウザでは未来は切り開けないと判断したのであろう。南斗宗家は、純潔を捨て北斗との合一の中に未来を見出したのである。
特記:ラオウについて
このページの構想を練っていて、改めてラオウの凄さに思い当たった。
ケンシロウと対決するときに、彼は世界制服の1歩手前だったのだ。
彼がケンシロウを倒したとしよう。
ファルコはすでに片足を差し出し、自治の約束を受けている。いまさら拳王に戦いを挑んだりはすまい。
とすると、ラオウは海を渡るであろう。
まず第三の羅将ハンと戦うが、これは勝利するであろう。
次に第二の羅将ヒョウである。この闘いもラオウが優勢であろう。するとヒョウの中の北斗宗家の血が目覚める。だが、既に述べたように、繰り出す宗家の拳はラオウには見きられているのだ。ヒョウは敗れる。ジュウケイが、ケンシロウではヒョウに勝てぬと言ったのはあるいはこのことか。ヒョウの宗家の拳が目覚めてしまうと、受身を極めていないケンシロウでは、よくて相打ちになってしまうのだ。
そしてカイオウである。兄弟の死闘は続くであろう。カイオウの必殺暗琉天破は、宗家の拳+魔界による幻惑であり、いくらラオウが宗家の拳の受身を極めていても、すぐには対応できまい。だが、数々の拳法を吸収してきた底力がここで発揮されるだろう。
闘いの最終局面、カイオウは自分の身に染み付いていた拳を放つ。だがラオウをそれを見切っている。彼は兄を倒すだろう。そしてカイオウは「見事だ、弟よ。母者を頼む」と言って溶岩に包まれるのだ。これはこれで一つのストーリーである。
また、話は変わるが、先ほどユリアの従者はリハクかトウかで悩んだが、やはりユリアの従者はリハクであろう。黒夜叉と年齢的にも釣り合う。トウはユリアの後継者の従者として準備されているのだ。そして、ケンシロウの後継者の従者となる予定だったのがラオウであろう。
もし、宗家に関係するすべてがうまくいっていたら………ヒョウはサヤカと結ばれ、カイオウを兄と慕ったであろう。ケンシロウとユリアは結ばれ、その子にはラオウとトウの二人の従者がつく。彼らもまた結ばれたであろうか………現実はそうならなかった。天が北斗南斗の融合を望まなかったということか。
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